食育とは?子どもが学ぶメリットや具体例、資格についても解説!
食育とはどういうもの?
農林水産省が「食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」としているように、現代の日本で非常に重要視されています。2005年に食育基本法が制定されたこともあり、その言葉が広く知られるようになりました。
おそらく、多くの方がこのコマのイラストを1度は目にしたことがあると思います。これは、1日に「何を」「どれだけ」食べたらいいかがひと目でわかるようにと作られた食事バランスガイドというイラストで、国の食育のシンボル的な存在になっています。
食育基本法が成立したのは、いまから10年ほど前。この法律が制定された背景には「食」を大切にする心の欠如、栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加、伝統ある食文化の喪失など、さまざまな問題があってのことでした。
- 今から70年前
- 大戦後にその日の食べ物にも困っていた時代
- 今から30年前
- 高度成長を経て、食べ物に困らなくなった時代
- 今から20年前
- 飽食の裏で食の問題点が浮かび上がる。食育の第一人者・服部幸應先生が取り組みを本格化させる。
- 今から10年前
- 国の課題として位置づけられ、食育基本法スタート
飽食と言われるように、今では食べ物が足りずに皆がお腹を空かせていた事など想像できないほどに、日本の食生活は豊かになったはずでした。
ところが、豊かな半面、食材の安全面での不安や、生活習慣病の増加、心も体も不安定な育ち方をしてしまう、など家庭の内外で食に関する問題が目立つようになってきました。
これらさまざまな問題を解決するためにヒトと食べ物、社会と食べ物の関わりを理解することが必要とされ続けています。
食育基本法とは?
文部科学省では、学校教育のなかで健康教育の推進、学校給食の充実や食に関する指導の充実に力を注いできました。そして厚生労働省では、「21世紀における国民健康づくり運動」を作成し、増加する生活習慣病にはどめをかける運動をしています。 2005年により広く国民的な運動として取り組む方向性を示すために成立したのが、食育基本法です。
- 食育基本法は33の条文と、8つの基本理念に基づいています。
-
- 食品の安全性の確保等における食育の役割
- 食に関する感謝の念の醸成
- 食育推進運動の展開
- 伝統的な食文化等への配慮
- 農山漁村の活性化と食料自給率への貢献
- 食に関する体験活動と食育推進活動の実践
- 子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
- 心身の健康な増進と豊かな人間形成
まずは、食育基本法は「食」を通じて誰もが健康で幸福な人生を送ることができるように、「食育」を国民運動として推進するために作られた。ということを、覚えておくと良いでしょう
参考:【食育基本法とは?概要を知ってその重要性を理解しよう】
食育を学ぶとどんなメリットがあるの?
服部幸應先生が提唱する知識は、家族の健康や子育てに 大きく役立ちます!
- 食材の旬や特徴がわかるから栄養たっぷりの料理が作れる
- 野菜や果物、魚介など、食材それぞれの特性を学習することで、食材の旬や栄養効果がわかります。季節や体調に合わせた食材選びと、栄養を逃がさない調理のコツや鮮度を保つ保存方法もわかるので、よりヘルシーな食生活を実現できます。
- 保存法の工夫と節約レシピで食材の無駄をなくせる
- 食材の「適材適所での保存」を学ぶことができます。上手な保存は食品の無駄を減らすことにつながり、また旬の食材を知ることで安価で栄養価の高い食材を使用した節約レシピに役立てることが可能です。
- 家族の健康をサポートするバランスのよい食生活がおくれる
- 世代ごとの活用ポイントを紹介し、その世代が特に必要とする栄養や食事の改善ポイント、身につけておきたい生活習慣、実践法などを学ぶことで家族の健康づくりに活かせます。
- 子どもの心と体を健やかにする食生活のポイントがわかる
- 子どもの頃の食習慣は、一生の健康を左右します。子どもが生涯健康な食生活を送れるよう必要な知識を子どもの成長段階に合わせて学習。必要な栄養、食事の改善ポイント、生活習慣、実践法など具体的なポイントを学べます。
- 食の正しいマナーが身につき子どもに自信をもって伝えられる
- 食のしつけを通じて、社会性を身につけていくことが可能です。まずは大人が、子どもの見本となるように基本のマナーをしっかりと身につけることで自信を持って子供に伝えていくことが出来るようになります。
- 家族を食の不安から守る安心安全な食材の選び方がわかる
- 安心安全な食材の見極め方を学び、不安な食情報に振り回されないための知識を身につけることで健康的な食習慣が身につき、食生活の乱れを防ぐことができます。
早くから食育の重要性を提案してきた服部幸應先生
日本は食べ物に不自由しない豊かな国です。一方で食への関心が希薄になり多くの問題を抱えるようにもなっています。
肥満や“キレる”など子ども達の体と心の異変、食料自給率39%など、私たちの食生活は不安なことばかりです。これらの問題を解決するためには、一人ひとりが、食の大切さを見直す必要があります。その土台となるのが「食育」なのです。
生きるために欠かせない食について学ぶ「食育」は生きていく上の基本であり、一生使える知識となります。そして食の知識が増えれば、食生活はもっと楽しく、豊かな時間となるでしょう。あなたもご自身やご家族の健康と安心な食生活のために、この機会にぜひ食育をはじめてほしいと思います。
2012年には「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、ここで和食の特徴とされたのは盛り付けに代表される見た目の美しさだけではなく、多様で新鮮な食材の活用や栄養バランスの良い食事スタイル、そして家族や地域とのつながりを象徴する年中行事との関わりという、今まさに私達が失わないようにと目を向け始めたものでした。
食に関する幅広いテーマに向き合う食育ですが、服部先生はこれを、わかりやすいようにと
- 1.選食力を養う
- 2.食事作法を身につける
- 3.地球の食を考える
という3つの柱に分けるようにしています。
まずは、家庭の食卓で最近良く起こっている「6つのこ食」を見てみましょう。
⇒家庭の食卓の問題点(こ食)って?子どもへの食育を実施する際に気を付けるべきこと
未就学児のケース
子どもの味覚を育む食生活がポイントです。たとえばいろいろな素材や味、香り、彩りのある食事は、子どもの感性を磨くだけでなく、好奇心や探求心も引き出します。好奇心旺盛な時期に五感を磨く食体験をさせてあげることで食べる事への興味にもつながります。この時期に「食べたいもの、好きなものが増える子ども」に育んでいきましょう。
小学生のケース
小学生は、身長・体重ともに増え、内臓や脳、神経などの体の機能、運動機能などが著しく発達する時期です。またこの時期は食習慣が形成される大切な時期ですので「不規則な食習慣を身につけない」こと、1日3食の食習慣を身につけバランスの良い食事をとりエネルギーや各栄養素をしっかり摂ることがとても大切です
中高生のケース
第二次性徴を迎えるこの時期は、心身ともに成長が著しく、13~18歳ごろの栄養素の必要量は、男女ともに一生のうちで最大になります。ですが部活動や習い事等で生活環境の変化、誤ったダイエット、食事時間や栄養バランスの崩れなどに注意が必要です。成長期に欠かせない栄養素をしっかりと摂ることと正しい食習慣を守るように導いていきましょう。
参考:【孤食・個食・こ食など意識したい家庭の食卓問題6つ】
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