未病とは?症状や薬膳との関係について
未病とは
和漢膳(薬膳)の最も素晴らしい魅力は「未病の人の健康を守る」という考え方です。「未病」とは、体の不調を感じ、病気とはいえないが、健康でもない状態のことをいいます。
こんな症状はありませんか?未病の可能性がある症状例
- 立ちくらみ
- 目がかすむ
- 髪の毛が抜けやすい
- 頭痛
- 静脈瘤
- 顔色が悪い
- むくみやすい
- 梅雨時や雨の日に体調を崩しやすい
- 乗り物酔いしやすい
- 息切れがする
- だるい、疲れやすい
- 食欲がない
- 朝起きづらい
- イライラしやすい
- のどに何かつかえた感じがする
- 怒りっぽい
- 足がつる
和漢膳ではこれらの症状を「未病」ととらえています。 もちろん症状によっては重大な病気が隠れている可能性もありますので、体に異変がありましたらすぐに病院での検査をするべきです。 ただ人によっては未病の症状があっても「症状が軽い」「いつの間にか治っている」「体質だから」「検査では異常がなかったから」と、ほうっておかれる方も多いようです。
「頭痛」や「肩こり」も未病のサイン
多くの方が悩まれている「頭痛」や「肩こり」。東洋医学では「血瘀(けつお)」という症状に当てはまります。
症状は?
「血瘀」は血の巡りが滞って、体の各所に栄養を与える機能が低下した状態をいいます。 主な症状は、肩こりや神経痛、頭痛、月経痛、静脈瘤、舌に斑点や裏側の静脈が怒張しているなどの症状が現れます。
原因は?
原因はストレスや栄養不足、血の不足が進んで起こりやすくなります。また、不規則な生活や無理なダイエットからも起こります。
改善方法は?
この「血瘀」の症状が出た時や症状が出る前に予防するには、適度な運動、体を冷さない偏食をしない、精神的にリラックスすることが大切です。
「血瘀」の人におすすめの食材
血の巡りを良くする黒きくらげなどのきのこ香りの良い青じそ、ゆず、玄米、マグロやイワシなどの青魚、どじょう、玉ねぎ、にんにく、らっきょう、にら、キャベツ、ブロッコリー、ねぎ、サフラン、黒酢など。
「血瘀」の人が控えたい食材
脂肪の多い食品、バター、ケーキ、塩辛いもの、味の濃いもの、冷たい飲み物、アイスなど。
「血瘀」の人におすすめの薬膳食材
陳皮、紅花、生姜、桂皮(シナモン)、牡丹皮、桃仁、芍薬、当帰、川芎、牛膝、茯苓、玖瑰花
季節による未病のトラブル ~春~
未病は季節によって起こりやすい症状があります。 例えば「春」 春は陽気がよくなり、人の体も活発に活動を始めようとします。和漢膳(薬膳) では「陽陰補肝」といい、春を健やかに過ごすには血を巡らす肝臓の機能を高める食事が大切だと考えます。
春に多い未病のトラブル
のぼせ、頭痛、目の充血、めまい、鼻づまり、のどの痛み、肩こり、イライラし怒りっぽい 、体がだるく、やる気が出ない
春を健やかに過ごすには、肝機能を高める食事が必要だと考えます。 肝臓の働きを良くする「酸味」の食品をとったり、新陳代謝を良くする旬の「苦味」 の食品や、粘膜に潤いを与える食品、お通じに良い食品を食べる、ということがポイントになります。 春は陽気がよくなり、木々は上へ上へと伸び、冬ごもりの虫や冬眠していた動物も外へ出てきます。この時期、人も冬に蓄えられたエネルギーを外に発散するために毛穴は少しずつ開き、体内の「気」や「血」の流れも肝臓の働きが活発になるため「上へ外へ」のエネルギーが高まります。気や血が上の方へ昇りやすい体質の人は、ちょっとしたことで「頭に血が登る」ということにもなりやすくなります。 以下のような食材や薬膳食材で未病を防ぎましょう。
春の未病を防ぎ元気に乗りきるコツ
臓の働きをよくし、機能を高める食品をとる
シジミ、アサリなど貝類、セリ、にら、セロリ、豚肉、いちご、レモン、酢、カッテージチーズ、枸杞子(クコの実)、山査子など
新陳代謝をよくする旬の苦味の山菜、野菜をとる
春キャベツ、チンゲンサイ、ウド、フキノトウ、菜の花、タラノ芽、ワラビ、金針菜、蒲公英など
粘膜に潤いを与えのどによい食品をとる
大根、レンコン、しそ、はちみつ、銀耳(白きくらげ)、蜂花粉、陳皮など
便秘に注意し、お通じによい食品をとる
ヨーグルト、ごま、りんご、決明子(ハブ茶)、銀耳(白きくらげ)、 海松子(松の実)など
未病には薬膳がおすすめ
西洋医学では、検査で異常が現れなければ病気とは診断されず、治療が行われません。「未病」の状態であっても、多くの方が特に何かをするわけでもなくそのままというのは、この西洋医学の考え方によると思われます。 一方、東洋医学では、表面的な数値に問題がなくても、不調を感じる(未病の症状)ならば 心身のどこかが失調状態であると考え、そのひずみを整えて、健康な状態に戻していきます。 日頃の生活習慣や食事で体調・体質の改善をはかり、病気や未病にならないように予防し、免疫力を高めます。そのための方法としておススメなのが、和漢膳(薬膳)です。
そもそも、薬膳ってなんだろう?
体全体の活力を取り戻す「東洋式食事法」が「薬膳」
植物は、農薬をまいて寄生した害虫を駆除するだけでは元気にはなりません。 日当たりや温度、水の量、健康の土で花が咲き、立派な実が実るのです。 人も抗生物質で細菌をやっつけたり、手術で悪いものを取り除いただけでは真の健康は得られません。病気にかかりにくい身体の環境を作り上げていくことが大切なのです。
西洋医学の食餌療法はカロリーで計算する「西洋式食事管理法」です。一方、東洋医学のの食事管理法は中国医学(漢方)の知恵を活かした「薬膳」ですから、「東洋式食事管理法」となります。体質に合った食べ物を選食しバランスの崩れを整え、健康を維持します。ですから個々の代謝も違いますので、カロリー計算のみの食事管理はしません。
病気(未病)を未然に防ぐ健康料理
近年では、人間ドック受信者の8割以上の方に何らかの異常が見つかっています。しかし、そのうちの7割は生活習慣を変えるだけで改善できるといわれています。その中でも特に効果的なのは、やはり食生活の改善です。
人間の体は60兆個もあるといわれる細胞によって作られています。その細胞を作るために必要なもの、活動するエネルギーのもとになるのが「食」です。 人は食べることで元気になりますし、反対に、食をおろそかにすることで、 不調になったり、病気になったりもします。
食べることは生きることの基本であり、とても大切なものです。 しかし、現代の食生活は一見豊かであるようですが、実際は乱れや偏りが 目立っています。加工食品ばかりを食べたり、栄養をサプリメントで摂ったりと、「食」 がないがしろにされている例が数多く見受けられます。
超高齢社会を迎えた日本では、医療費が莫大なものとなり、国の財政を圧迫してきました。 そこで、今までのように「病気になってから治療をする」という流れを見直そうという動きが出ています。食事や生活習慣によって体質や体調の改善をはかり、病気を防ぐという予防医学です。 そのひとつの手段となるのが薬膳です。 東洋医学には、病気ではないが健康ではないという「未病」の考え方がありますが、これなどはまさに先ほどの予防医学と同じです。少子高齢化を迎える中、病気になってから病院に行っていたのでは国民医療費がもちません。
体内バランスの乱れを食で整えて、病気にならないようにする薬膳は、これからますます必要とされる料理となることでしょう。
薬膳マイスター養成講座について
「薬膳は難しそう…」そう思われがちですが、薬膳マイスター養成講座は誰でも気軽に学ぶことができるように工夫されています。 日本人に合った新しい薬膳の和漢膳は、薬膳の正統的な考え方を踏まえつつ、日本で手に入りやすい食材を使って、日本人の体や味覚に合うようにアレンジした料理が豊富なんです。特殊な料理でもなんでもなく、食生活に気軽るに取り入れることで、身近に感じ、知識が身につきやすくなっています。
また、テキストでは詳しい説明以外にもイラストがついていて読みやすく、年代問わず多くの方に学んでいただいています。課題修了後に希望があれば資格を取得することも可能です。
もしも分からないことがあれば質問用紙も活用できるので初心者の方でも安心してご受講いただいております。
おわりに
東洋医学では「未病」を治すことを大切に考えます。そのまま放置すれば、病気へと進行するからです。 そうならないためには、体内の崩れたバランスを整えることが必要になってきます。 和漢膳(薬膳)は体質やその日の体の状態を見極めて、それに合った食材を選んで食べるので、体調を整えて体を健やかに保つことができます。 現代は環境や生活の変化、農薬や添加物の食品などさまざまな要因で、自分の体を病気から守る機能「免疫力」が低下しているといわれています。 体内バランスを整えて自然治癒力を高める和漢膳(薬膳)の考え方は、これからますます注目を集めることでしょう。
薬膳マイスターが活躍しています!
薬膳マイスター Mizukaさん
料理研究家として、体質や目的に合わせたレシピ提案ができるようにステップアップしたいと考え、受講を決めたMizukaさん。 薬膳マイスター取得後は、薬膳の知識を活かし、2冊の料理本を出版。現在フードコーディネーターとして食に関わるジャンルで活躍されています。
がくぶんの情報誌「manabiya-まなびや-」にて取材させていただきました!
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